惑星間不定期通信

小説を書いています。本や映画の感想やその他なども書きます。

メキシコ旅行記 十一日目「インディファレンス・ソープ」

 

 水曜日。

 たとえ初めての海外滞在だとしても一週間も同じ場所に居れば、何か特別なことがないかぎり書くことがなくなってくる。そんな日の日記は食べたものの詳細くらいしか書かれていない。

 朝食。いつものカフェにてアラチェラと呼ばれるタレに浸けた肉を焼いたものとメヒカーナを食べる。アラチェラは十分やわらかく味も良いのだが昨晩の肉が美味すぎたので少し物足りない。

 昼食。ビフテキとポブラーノ・ソースがかかったトルティーヤ、ピラフ。ブロッコリーの入ったトマトスープ、ヨーグルトソース(やたら甘い)のかかったイチゴを食べる。ビフテキの固さが尋常でない。この国の「ビフテキ」というのはものすごく固い肉のことのようだ。

 夕食。広場沿いのイタリアンの店へ。パスタを食す。カルボナーラソースは美味しいのだが麺が茹で過ぎだった。標高が高いから茹で加減が難しいのではと教授が推測していた。

 レストランの外のテラス席に座っていると物売りの老人が話しかけてくる。たいてい造花や土産物の玩具を売りつけてくるのだが、無視をするかはっきりと断らなければいけない。

 昨日のステーキ屋もそうだったが、店にはギターを抱えたミュージシャンが弾き語りをしていた。音量が大きすぎたので落ち着いて食事が出来ない。どれくらい音量が大きいかというと、三軒隣のレストランで歌っているミュージシャンの音が普通のBGMくらいの大きさで聞こえるくらいである。店としては逆効果と思うのだけれど、メキシコ人は気にならないのだろうか?

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なぜかこの街のレストランにはミュージシャン(とりたてて上手くはない)が店の中で演奏していてとてもうるさい。

 今日の特筆すべきすることといえばスーパーマーケットに行ったことくらいである。この街のスーパーマーケットに来たのは初めてだが、日本の大きめのコンビニくらいの広さしかない。万引き防止のために入り口でカバンを預けなければならず、入るのに遊園地に良くあるような入場制限の回転式バーを通らなければいけない。

 通路は狭く、陳列棚には商品がぎっしりと詰められているが、よく見ると同じ商品がいくつも並べられているだけなことに気付く。ボディソープが欲しかったがどれなのか分からず何も買わなかった。シャンプーと洗剤とボディソープのパッケージがどれも同じようなので違いが分からないのだ。嘘だと思うなら、日本のドラッグストアに行ってみてほしい。日本語が分からなかったら洗剤もボディソープもシャンプーも分からないと思うでしょう。