惑星間不定期通信

小説を書いています。本や映画の感想やその他なども書きます。

メキシコ旅行記 十九日目「そしてぼくらはアミーゴとなった」

 木曜日。部屋のトイレットペーパーがなくなってしまったので朝から部屋の外のトイレを使う。

 いつものカフェに行くが紅茶だけ飲む。僕が具合悪そうにしていたからか、なんと無料だった。チップを多めにはずんでおいた。

 研究所に行き、朝一で所内のメディカルスタッフに見てもらう。エルネストが同行してくれて、英語で通訳してくれたからなんとかなった。スペイン語がまったく話せなかったら医者に見てもらうのも難しいだろう。

 薬を処方してもらい、エルネストの車に乗ってチョルーラに戻り薬局へ行った。道中エルネストと個人的な話をし、前よりも打ち解けることができた。

「アミーゴというスペイン語はわかるか」とエルネストは僕に尋ねた。

 僕は、わかると思う、と答えた。

「俺とお前はアミーゴだ。困ったことがあったら相談してくれ」

 僕は頷いた。

 四種類の薬で千円くらいだった。保険が利いていないのにこの値段は安い。やたらと大きな錠剤はとても怪しげな雰囲気だが。エルネストが丁寧に薬の飲み方を教えてくれた。

 薬を飲んだら突き刺されるような急激な胃の痛みはなくなった。薬とともに処方された謎のミネラルウォーターは、甘いし、辛いし、なんだかよくわからない不思議な味である。昼食は食べず。ほとんど隅っこでぐったり眠っていた。

 メキシコ自治大学から学部生たちが来た。例のごとく全員太っている。女の子も居たが、エルネストと挨拶のキスをしていた。

 恋人なのか? それともマウストゥマウスのフレンチキスなのか? それをエルネストに尋ねる勇気はなかった。やはりまだ僕たちは本当のアミーゴにはなれていないのかもしれない。

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エルネスト(左)と筆者(右)。後ろはオリンピック会場にもなったサッカースタジアム。

 夕食は大勢で食べに行くようだったが僕はホテルに戻る。下痢は出なくなったので昨日買ったお菓子を食べたが、また差し込むような痛みが復活する。

 風呂に入ってさっさと寝よう。あと一週間、がんばろう。