2018年も既に2月も半ばに達しようとしているのに今更2017年の話かよ、と思われるかもしれませんが僕もそう思います。2017年は本を読むより映画を見ていた一年でした。とはいえもう少し本を読むべきだし、映画を見るべきですね。幸いにして映画の感想は一本ずつ書き残していたので、それを貼り付けていきます。ちなみに僕は映画に関しては特にこだわりはなく面白そうだなと思ったものを見ています。基本的にはアート系作品は理解できるほどの知識がないので、脳みそ空っぽなハリウッド映画が好きです。
1作目「この世界の片隅に」
ミリオン座に行くのなんて何年ぶりだろうか。戦争を悲劇として描く作品はたくさんあるし、エンタメとして描く作品もあるけれど、これは市井の人々の日常をただただ細やかに写し取っていて、身内の死や街の焼損や身体の欠損など辛い現実はそこにあるのだけれど、辛くて悲しいことを語っているわけではなく、それでも世界に満ち満ちているうつくしさやあなたとわたしの生きていく意味に心がいっぱいになる。
2作目「レ・ミゼラブル」
再視聴。映画館で観た時は3回くらい泣きそうになったが、家で見るとこんなにあっさりしてたっけという印象。歌の良さで忘れそうになるけれどかなり展開が急で、家でぼんやり見てたりすると勢いについて行けなくなりそうになる。
3作目「エクス・マキナ」
密室サスペンスとして面白い。「不気味の谷」をサスペンスな感覚に転用する手腕も良い。だが人工知能と人とのあり方を描いているかどうかは保留したい。「いずれ人工知能は人間と区別できなくなり、人間よりも優れているから、いずれ人間はモノのように扱われて捨てられるかもしれない。怖いね」みたいな教訓しか得られないとしたら、これからの未来技術を考える上では大した収穫にはならない。
4作目「ゼロ・グラビティ」
「エクス・マキナ」が低予算で近未来世界を上手く描いたとすれば、これは潤沢な資金で贅沢な宇宙を描いており、眼福と言うべきだろう。でもきっと近い未来にはこの映画の映像もショボく見えるのかなと思うと辛いところではある。間違いなく映画館で観るべきだった作品。よくもまあこんなにハラハラさせる展開にできるなと感心。ハリウッドの脚本・演出技術にまんまと感情が踊らされる。
5作目「キングスマン」
スタイリッシュかつ悪趣味で笑った。ダニエル・クレイグが必死になって(必死になったのは製作者側だけど)払拭した007のトンデモイメージを嘲笑わらうかのようにトンデモ方向に振り切って気持ちがいい。腹抱えて笑いました。
6作目「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」
こういう映画ほんと好きじゃないです。
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7作目「6才のボクが、大人になるまで。」
オチも何もないんだけど、人生は映画になってしまうということ。非常に良いんだけれどラストは蛇足では。
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8作目「モンスターズ・ユニバーシティ」
ディズニー映画ってたびたび大学のフラタニティ文化が舞台になったりするけれど、アメリカのティーンエイジャーには嬉しいんですかね。過去の話だから登場人物たちが最終的にどうなるのかはわかってはいるのだけれど、登場人物の性格を前作とはだいぶ変えてきたことにより、その性格が最終的にどこに行き着くのかがわかっている安心感と、どうやって性格が変わっていくのかという謎解きが物語を上手く牽引している。ここらへんの手腕がほんとうまいですよね。
9作目「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」
事実は小説より奇なりと言いますが、原作は果たしてどこまでが本当でどこまでがほら話なのか、何しろ稀代の嘘つきの話だから分からないんですよね。トムハンクスとディカプリオの追いかけっこというのは、もうそれだけで楽しい。
10作目「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」
実在の科学者を題材にした作品なら「博士と彼女のセオリー」のほうが良かった。いまいちチューリングの凄さが伝わってこない。
11作目「マネーボール」
ジョナ・ヒルの存在が気になり始めた。
12作目「ドライヴ」
つまり、ハリウッド版キタノ映画って感じですね。
13作目「バクマン。」
とにかく亜豆がコレジャナイ感ハンパないし、恋愛シーンは恥ずかしくて観てられない。それ以外はまあ漫画原作の邦画の中では頑張ってる方なのでは。山田孝之のおかげか。
14作目「南極料理人」
おっさんたちがラーメンを食うためにケンカしたり、堺雅人がハンバーガー食ってうめえって呟いたりする映画。
こんな映画、決してハリウッドでは作れない。僕が邦画に求めている全てがこの映画につまっている。こういう邦画を作り続けてほしい。
15作目「エイリアン」
クローズドな空間でのサバイバルが巧みに描かれている。しかし、ちっこいエイリアンがシュタタタタと走っていくのは少し笑った。子供の頃は怖くて見れなかったんだけどなあ。
16作目「エイリアン2」
前作のサスペンス感はどこへやら、脳筋ハリウッド映画と化したけど面白いもんは面白い。シュワルツネッガーが飛び出してきてエイリアン共を蹴散らしていたら完璧だったな。
17作目「レザボア・ドッグス」
タランティーノの下ネタ全開なファミレスの冒頭シーンしか記憶にない。
18作目「マイ・ボディガード」
少女とボディガードが心打ち解けていく前半はほどよく不穏さを孕んでいるが、逆に後半の復讐パートは単調な暴力の連続になり緊張が弛緩してしまっている。頻繁に凝った演出映像が挿入されるが、心理描写としてはさほど効果的でもなく。役者や題材は光るものがあるのに、プロットにもう少し意外性が欲しかった。
19作目「オーシャンズ11」
たぶん昔見たけれどまるで覚えていないので見る。人が死なない、傷付かないのに、最初から最後まで飽きさせない作りは地味に超絶技巧。オチも痛快。ジョージクルーニーはムショ上がりでもセレブ感を隠せてないけどそれもグッド。
20作目「ミッドナイト・ラン」
新作に限らないのであれば、今年のベスト。ドタバタで味方も敵もアホなんだけど、とにかく痛快で笑える。デニーロのワルになりきれない元警官の役がハマっている。
21作目「バグダッド・カフェ」
良い映画だが期待し過ぎた。前情報なしでミニシアターなんかで観たら印象に残るかな。
22作目「オーロラの彼方へ」
時間改変モノとしてはお手本みたいな脚本だけど、伏線が見え過ぎていて意外性はない。歴史改変としての痛快さもそれほどないし…、SFとしての整合性も無理矢理感がある。佳作ではあるが傑作ではない。
23作目「スピード」
とにかく息もつかせぬという言葉に尽きる傑作アクション。次から次へと襲い掛かるピンチを若きキアヌがどう乗り切るか!?で始まりからラストまで(本当にそれだけで)突っ走る。サンドラブロックは20年前の映画なのにゼログラビティとそんなに変わらないのもすごい。
24作目「ウォーリー」
これ結構怖い映画ですよね。ピクサーアニメでデフォルメされてるけど、イモムシみたいな新人類はリアルに描いたらかなり怖いんじゃないか。エンディングで人類の未来を描いてるけど、あれがなかったら地獄絵図しか想像できない。
25作目「聖の青春」
やっぱり映画で将棋棋士たちの気迫と覚悟に満ちた人生を描くのって難しいですよ。マツケンも東出も名演だけど、どうしてもモノマネ芸としての方面に目が向いてしまう。
26作目「007 スペクター」
一応ダニエル・クレイグによるボンドは最終作になるが、色々な意味で原点回帰というか、過去のボンドシリーズへのオマージュとリスペクトが感じられ、ストーリーとしてもなんだかよくわからないことになっていた過去2作に比べればスッキリしていたと思う。とは言え途中でやっぱりよくわからんことになりかけたが。ボンドの幼少期にあんまし興味がない人間にとっては、そもそもタイトルである「スペクター」に対する関心もあまり持てない。とにかく英国ブランドに身を包みスタイリッシュなのに体を張って頑張るダニエル・クレイグを見てニヤニヤすることが出来たので満足です。
27作目「ペーパー・ムーン」
ほんとうの天才少女子役は写すだけで名作になる。タクシードライバー、レオン、ニキータ、そして本作。
28作目「傷物語Ⅰ 鉄血篇」
ただただ演出がくどい。TVシリーズは短い尺だから耐えられていたのだなと再認識。
真綾さんの演技が素晴らしいのが救い。それが無かったら観ていられなかった。そもそもあの薄い原作を三部作にしなくてもいいだろと。
29作目「ハドソン川の奇跡」
今作やアメリカンスナイパーに共通するのは、アメリカの国民的ヒーローとなった人間を細部まで描き切り、その超人的な功績が、単に超人的な能力によるものではなくて、高度に訓練された人間が職責を果たしたことによる功績にすぎないことを示していることだ。要するにヒーローはただの一般人だということを語っているのだけれど、それは決してヒロイズムの否定ではなくて、一般人が国民的ヒーローになれるということを逆説的に描いている。
30作目「ある天文学者の恋文」
めんどくせえカップルだな、おい。もしこれが映画ではなく小説だとしたら心に残る一作になったかもしれない。映像にすると無理な設定が多々あり、教授のエスパーじみた封筒攻撃やら博士課程のくせに勉強する素振りが一ミリもない主人公やら(博士課程のくせにバイトばかりして学会も出ないし卒業論文しか書いてないし…)、細かい部分が気になってしょうがない。
とにかくこのカップルに感情移入できず、ワガママでモラルのない(図書館や観劇中くらいマナーモードにしろっ!)主人公に段々腹が立ってきて、彼女が泣いたり怒ったりする様を冷ややかに見るようになってしまった。
この監督の作品はどれも映像と音楽は素晴らしいけど、とにかくストーリーに無理がありすぎるきらいがある。「鑑定士と顔のない依頼人」に続いてジジイが若いオンナに夢中になる話だし…。なんだかなあ。
31作目「帰ってきたヒトラー」
傑作。ザヴァツキくんの最期は「世にも奇妙な物語」チックでやり過ぎ感があったが…。
先進各国のグローバリズムに限界が見えて、右傾化へと反発していく昨今、この映画は2年ばかり時代を先取りしていると言える。ヒトラーただ一人が残虐な異常者だったわけではなく、少なからず民意を反映していたのだということを再認識するには、ちょうどいい映画だと思う。
そこかしこに散りばめられたヒトラー映画のパロディには笑った。
32作目「PK」
「きっとうまくいく」はとても好きだが、これはイマイチ。説教くさいというか、インドの人ならあるあるな風刺がちょっとうるさい。序盤に張られた伏線も見え見えだし…
33作目「ボーダーライン」
正確無比な暴力描写。
綺麗事が通用しない世界での正義とは何か。緊張感が弛まず最期まで続いていく奇跡のような映画。
そして主人公のエミリーは「プラダを着た悪魔」のあのエミリーなのね。頭空っぽのギャルだったのにシリアスなFBIを演じきるなんて…流石ハリウッド女優。
34作目「ダンケルク」
IMAX初体験。冒頭の銃撃シーンで身を竦めてしまうほどのリアルさ。どこを切り取ってもひとつの絵になる、偏執的なまでのカットの美しさ。これは監督の腕なのかカメラマンの腕なのかわからないけれど…。この映像技術で描かれる空戦は必見といっても良い。密閉空間が水没していくのはリアリティがありすぎて閉所恐怖症の人は見られないのではないか(とはいえ3回くらいその演出が繰り返されるが)。
ただ、あえてケチをつけるなら、戦争映画を観ているというよりは優れたアクションエンタメを観ているような気分になったことか(「スピード」に近い印象を受けたが、やはり影響を受けているそう)。敵軍の姿が一切見えない演出が、戦争映画というよりは巨大災害と戦っているかのような気分にさせる。とはいえ一兵士たちにとってはそれこそがリアルなのかもしれないけれど。
35作目「スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望」
昔からスター・ウォーズは全然好きじゃなくて見てなかったんですが世間に乗っかって見てみました。ノーテンキな宇宙戦争だなと思いました、以上。
ちなみに、今年はまだ一本も映画を見ていません。