惑星間不定期通信

小説を書いています。本や映画の感想やその他なども書きます。

いまさら自作について「硝子と眼球」

 

 

「硝子と眼球」について。

 

社会人生活が忙しかったせいもあるが、長いこと小説を書き上げることが出来なかった。全く書いていなかったわけではなく、ボツになった長編小説が2作ほどある。高校教師がロックスターを育てる話で、原稿用紙100枚くらい書いて面白くならなかったのでボツにした。長編を書き上げるためのモチベーションを保つことが出来なかったのは主人公に感情移入できなかったせいかもしれない。感情移入出来なくてもストーリーが面白いと確信していれば続けられたけれど、どうも面白く出来なかった。

これは良くないなと思い、否が応にも書き上げるために2年ぶりに文学フリマに申し込んだ。締め切りを決めてしまえば書くしかない。結局追い込まれないと成し遂げられない性分なのかもしれない(この性分は早急に直さないといけない)。ジャンルをミステリにしたのには、特に理由はない。

高校生の頃は講談社ノベルスを中心にミステリをよく読んでいた。好きだったのは森博嗣米澤穂信殊能将之連城三紀彦など。翻訳の古典ミステリも有名作には目を通した。だんだん読まなくなっていったのは、正直に言って小説としてのテクニックが上手くない作家が多すぎるからだ。謎解きばかりが重視されて文章レベルが低い作品が世に溢れすぎている。小説や文学としての面白さを求め始め、次第にSFや純文学に興味が移っていった。

 

f:id:daizu300:20181008210756j:plain

 

だから、ミステリを書くとなったときにパズル的な謎解き小説を書こうとは思っていなかった。だいたい、そんなものは書けそうにない。ちょうどその頃海外ドラマのハンニバルにハマっていた。ミステリというよりはサスペンスだと思うが、人の死因を調べるよりかは生きている人間の生命が脅かされる方が面白い。だから主人公が命を狙われたり、主人公に捜査の疑いが向けられるといったストーリー展開にしたいと思った。

長編にしてもう少し丁寧に描写すればもっと面白くなったと思うけれど、僕の技術が未熟だったので上手くいかなかった。そういう意味では、この作品は悔いが残ってしまっている。登場人物ももっと魅力的に描きたかった。やはり殺人鬼は魅力的でなければつまらない。

物語の着想としては、眼球を集める殺人鬼というイメージがまず生まれた。「なぜ眼球を集めるのか?」というのを考えながら書いていた。

うーん、ダメですね。ああすればよかった、とか、こうしたらもっと面白くなったのに、とかしか感想が出てこない。とはいえ、ストーリー展開的には今までにないものが描けたような気がしていて、スリリングさの演出に関しては次作の「こどもの国」に活かされていると思う。

表紙絵はかなりインパクトがあって、僕も気に入っています。文学フリマでも最初に手を取られるのはこの作品である傾向が強かったりする。絵に負けないくらいインパクトの強い小説を書けるように精進します。