前回の続きです。
■21冊目『村上朝日堂ジャーナル うずまき猫のみつけかた』村上春樹
村上春樹のエッセイ。特に感想はありません。似たようなのがたくさんあるので…。本当に気軽に読めるエッセイです。
■22冊目『大槻ケンヂの読みだおれ―大槻ケンヂのお蔵出し〈PART2〉』大槻ケンヂ
村上春樹のエッセイがくだらなさの主としたユーモア、坂本真綾が普遍的なあたたかみを備えたユーモアとするならば、大槻ケンヂはケレン味と偏執さを武器とした面白さでしょう。同じミュージシャンのエッセイでも音楽性が見えるようで面白いですね。
■23冊目『超簡単お金の運用術』山崎元
■25冊目『臆病者のための億万長者入門』橘玲
株式投資を始めようと思ったのは勤務中にトイレに入っているときで、「なんで俺は腹痛に苦しみながら働いているんだ」とふと憤りを感じたので楽に稼げる方法を探してやろうと思いました。
とりあえず手っ取り早くこの3冊を読んで「なるほど信託報酬が少ないETFを買えばいいのか」と早速証券口座を開設してETFを買い付けた直後にチャイナショックが起こって5万円くらい損失が出ました。現在の収益はマイナス3万くらいです。
とはいえ、当初の「楽に稼ぐ」とは程遠いですが、長期的に見れば利益は出せそうです。株式取引の仕組みは面白いし、学生の頃に元手50万円から始めて100億稼いだ伝説のネットアカウント『BTF』氏など、知らない世界を知ることができたのは大きかったと思います。
■26冊目『神の子どもたちはみな踊る』村上春樹
再読。阪神大震災とサリン事件に関わり始めてからの村上春樹の短編集。高校生の頃に初読した時はさらっと読み流してしまったのだけれど、今読み返すとのちの作品に通じているものがたくさんあることに気づく。表題作は1Q84、海辺のカフカもそうだし、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』のヒロインである沙羅と同じ名前の少女も出ている(同一人物かは微妙だが)。
この作品集のなかでは『かえるくん、東京を救う』が好きなのですが、「ぼくは一人であいつに勝てる確率は、アンナ・カレーニナが驀進してくる機関車に勝てる確率より、少しましな程度でしょう。」というセリフで、キン肉マンでテリーマンが新幹線を止めるシーンを思い出したのは僕だけでしょうか。
■27・28冊目『ホテル・ニューハンプシャー』ジョン・アーヴィング
2014年で最も衝撃的だったジョン・アーヴィングの作品の中でも映画化もされた代表作である今作を読みました。ただひたすらに美しく、愛おしく、そして悲しみに敷き詰められた現代のおとぎ話でした。ジョン・アーヴィングの小説の中ではわりとバカバカしい理由で唐突に主要人物が死ぬんですが、それがご都合主義に見えないところに技巧があります。つまり、平和な日常に突然登場人物が死んでもおかしく感じないような不穏さがユーモラスな世界に満ちていて、それが物語を牽引する力になっている。個性的な家族たちはみな愛おしく、だからこそ、その盛衰が物悲しく感じます。
■29冊目『王とサーカス』米澤穂信
「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」で2015年国内ミステリ部門1位に輝いた今作は、高校生の頃に何度も読み返した『さよなら妖精』の登場人物である大刀洗万智が主役ということですぐに読みました。2重に仕掛けられたミステリ的トリックはもちろんですが「ジャーナリストが伝える意味とは何か」ということを自問する今作は、社会派ミステリでも青春ミステリでもない米澤穂信にしか書けないテーマが描かれています。このテーマは米澤穂信がデビュー以来書き続けてきた青春の挫折−−ビルドゥングスロマンの延長線上にあるものであり、それがこのように大衆に受け入れられたということは、自らの作風を突き詰めてひたすらにその強度を増した結果と言えるでしょう。
株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書
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■30冊目『株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書』足立武志
最低限知っておこうと思って読みました。財務諸表の読み方など。
■31~33冊目『アラビアの夜の種族』古川日出男
古川日出男の他の著作を読んだことがあればこの作品が翻訳小説ではないことにはすぐわかると思うのですが、どうも他の書評を読んでいると勘違いしている人が結構多いようで…。物語のプロットやディティールの細かさは良いと思いますが、翻訳調に徹するかと思えば古川節が出てきたりするような調性の乱れが気になりました。作中で登場人物が寝食を忘れて没頭する物語が「しょーもな」と思ってしまったので、僕としてはイマイチでした。