前回の続きです。ようやく最後です。
Vシリーズ最後になります。犯人はすぐにわかったというか、いかにも森博嗣的なポジションにいる人物だなと。トリックに僕の仕事で使用しているものが出てくるので複雑な気持ちになりました。本当に祖父江警部補が可哀想。最後にはあの人物が出てきますが、直接次の四季シリーズへと繋がっていきます。
■52冊目『四季 春』森博嗣
そして四季シリーズ。おなじみの天才真賀田四季の幼少期の物語。混乱するような記述が続きますが、話としてはそれなり。とにかく真賀田四季の思考を「考えずに感じろ」的な作品。
■53冊目『四季 夏』森博嗣
四季シリーズ。Vシリーズの面々が真賀田四季と交錯します。四季シリーズになっても祖父江さんは可哀想。そしてVシリーズの大トリックがさらっと明らかになります。この衝撃の事実に多くの読者は驚愕したでしょうが、不幸にも僕はすでにネタバレを食らっていました。それを抜きにしても素晴らしいトリック。そして四季シリーズになっても保呂草さんは格好良いです。真賀田四季にどうして結婚指輪を外さないのかと問われた林警部のやり取りが最高にハードボイルド。全てのシリーズにおいて真賀田四季に屈服しなかったのは紅子さんだけなのでは?
そして今作のラストからS&Mシリーズの始点に立つことになります。
■54冊目『四季 秋』森博嗣
S&MシリーズとVシリーズの登場人物が一堂に会し、そしてその中心には真賀田四季。今作を持ってS&MシリーズとVシリーズは完結と言えるでしょう。ファンとしては感慨深いものです。保呂草と儀同世津子のやり取りが切ない。
■55冊目『四季 冬』森博嗣
四季シリーズ最終巻。行くとこまで行っちゃったというか、未来の話になっており他のシリーズの登場人物はほとんど出てきません。時間軸が断裂的にいったりきたりしながらシリーズを振り返ります。森ワールド全開。
■56冊目『バビロン1 -女-』野崎まど
野崎まどの新刊。特捜地検の検事正崎は製薬会社の不正を追う内に奇怪な殺人事件に遭遇する。そしてその事件から政界の闇へと足を踏み込んでいく。その先には別の死体が…。野崎まどのまっとうなミステリらしいミステリ。途中でSFのエッセンスもあり、舞台装置として新統治区分「新域」というアイデアも盛り込まれており、壮大なシリーズの幕開けを感じさせます。そのうち映画化しそうなスケール。野崎まどのこれからかに目を離せません。
この作品は講談社タイガ文庫から出ているのですが、このタイガ文庫というのは20〜30代をターゲットとしていますが、言ってしまうと講談社なりのポスト・ライトノベル枠で、ゼロ年代あたりに活躍していたラノベ作家が多いです。僕としてはドンピシャな世代なのでこれからも楽しみです
■57冊目『世界の歴史(3) 中世ヨーロッパ』
中世史というと暗いイメージですが、あまり細部に入り込まず、それでいて挿話も含まれているのでバランスよく流れを知ることができました。この辺りの歴史上の人物は現代では想像のつかないような性格をしていて面白いですね。
- 作者: レイモンドカーヴァー,Raymond Carver,村上春樹
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■58・59冊目『頼むから静かにしてくれ』レイモンド・カーヴァー
短編の名手レイモンド・カーヴァーの初期作品集。村上春樹が解説しているようなアメリカの家長的男性的な夫像が失墜した現代の悲哀を描いた文学的ハードさというのは、僕としては魅力には映りませんでしたが、時としてその悲哀さがカフカ的不条理にも見える部分は面白く読めました。
以上。まとめて書くのは大変でした。やっぱりアウトプットは定期的に。みなさま、よいお年を。