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惑星間不定期通信

小説を書いています。本や映画の感想やその他なども書きます。

「硝子と眼球」

第二十三回文学フリマ東京にて頒布する新刊「硝子と眼球」が出来上がりました。

 

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「ひとは何故生まれ、何故生きるのか」
 千秋は嬰児の標本を愛おしそうに撫でる。
「この子を見ていると、そんな当たり前の問いが無意味だと思えてくるわ」 
 だってそうでしょう、と彼女は言う。
「こんなに気持ち良さそうに眠っているのですもの」
 陶然とした表情で嬰児を見つめるその顔には、どこか母性を思わせるものがあった。
「嗚呼……」
 彼女は喘ぐように呟く。
「私も早く死にたいものだわ」

 

10代の女子学生の連続自殺事件、彼女たちの死体には眼球が無かった。最後の被害者となってしまった親友の身辺を調べるうちに、私自身も奇妙な事件に巻き込まれていく…。

今回はミステリということで、殺人事件を描いています。とはいえ犯人当てゲーム、という意味のミステリはないですが。

ブースも決定しました。お待ちしております。

 ブース位置 : D-20 (Eホール(1F))

    カテゴリ   : 小説|ミステリー

 

あとは、当日に有給が取れるかどうかだけが心配です……。むりそー。

第二十三回文学フリマ東京 参加します

第二十三回文学フリマ東京
開催日 2016年11月23日(水祝)
開催時間 11:00~17:00予定
会場 東京流通センター 第二展示場
アクセス 東京モノレール流通センター駅」徒歩1分

 

二年ぶりに文学フリマに出ます。もう原稿は書き上がっているので、開催日が会社の営業日なので有給が取れるかどうかだけが問題です。ジャンルはミステリーで登録しました。初めて参加した時はSF、次は恋愛、今回はミステリーと全部異なっていますが、自分としてはジャンルを決めずに書いているのでこうなりました。そんな感じなので今回もミステリなのかどうか分かりませんが、一応ホワイダニットになるのではないかと思います。

 

というわけで、新刊「硝子と眼球」頒布予定です。

 

2015年読書記録 51~59冊

前回の続きです。ようやく最後です。

 

赤緑黒白 (講談社文庫)

赤緑黒白 (講談社文庫)

 

   ■51冊目『赤緑黒白森博嗣

Vシリーズ最後になります。犯人はすぐにわかったというか、いかにも森博嗣的なポジションにいる人物だなと。トリックに僕の仕事で使用しているものが出てくるので複雑な気持ちになりました。本当に祖父江警部補が可哀想。最後にはあの人物が出てきますが、直接次の四季シリーズへと繋がっていきます。

 

四季 春 (講談社文庫)

四季 春 (講談社文庫)

 

    ■52冊目『四季 春』森博嗣

そして四季シリーズ。おなじみの天才真賀田四季の幼少期の物語。混乱するような記述が続きますが、話としてはそれなり。とにかく真賀田四季の思考を「考えずに感じろ」的な作品。

 

四季 夏 (講談社文庫)

四季 夏 (講談社文庫)

 

     ■53冊目『四季 夏』森博嗣

四季シリーズ。Vシリーズの面々が真賀田四季と交錯します。四季シリーズになっても祖父江さんは可哀想。そしてVシリーズの大トリックがさらっと明らかになります。この衝撃の事実に多くの読者は驚愕したでしょうが、不幸にも僕はすでにネタバレを食らっていました。それを抜きにしても素晴らしいトリック。そして四季シリーズになっても保呂草さんは格好良いです。真賀田四季にどうして結婚指輪を外さないのかと問われた林警部のやり取りが最高にハードボイルド。全てのシリーズにおいて真賀田四季に屈服しなかったのは紅子さんだけなのでは?

そして今作のラストからS&Mシリーズの始点に立つことになります。

 

四季 秋 (講談社文庫)

四季 秋 (講談社文庫)

 

     ■54冊目『四季 秋』森博嗣 

S&MシリーズとVシリーズの登場人物が一堂に会し、そしてその中心には真賀田四季。今作を持ってS&MシリーズとVシリーズは完結と言えるでしょう。ファンとしては感慨深いものです。保呂草と儀同世津子のやり取りが切ない。

 

四季 冬 (講談社文庫)

四季 冬 (講談社文庫)

 

      ■55冊目『四季 冬』森博嗣 

四季シリーズ最終巻。行くとこまで行っちゃったというか、未来の話になっており他のシリーズの登場人物はほとんど出てきません。時間軸が断裂的にいったりきたりしながらシリーズを振り返ります。森ワールド全開。

 

バビロン 1 ―女― (講談社タイガ)

バビロン 1 ―女― (講談社タイガ)

 

       ■56冊目『バビロン1 -女-』野崎まど

野崎まどの新刊。特捜地検の検事正崎は製薬会社の不正を追う内に奇怪な殺人事件に遭遇する。そしてその事件から政界の闇へと足を踏み込んでいく。その先には別の死体が…。野崎まどのまっとうなミステリらしいミステリ。途中でSFのエッセンスもあり、舞台装置として新統治区分「新域」というアイデアも盛り込まれており、壮大なシリーズの幕開けを感じさせます。そのうち映画化しそうなスケール。野崎まどのこれからかに目を離せません。

この作品は講談社タイガ文庫から出ているのですが、このタイガ文庫というのは20〜30代をターゲットとしていますが、言ってしまうと講談社なりのポスト・ライトノベル枠で、ゼロ年代あたりに活躍していたラノベ作家が多いです。僕としてはドンピシャな世代なのでこれからも楽しみです

 

世界の歴史 (3) 中世ヨーロッパ (中公文庫)

世界の歴史 (3) 中世ヨーロッパ (中公文庫)

 

        ■57冊目『世界の歴史(3) 中世ヨーロッパ』

中世史というと暗いイメージですが、あまり細部に入り込まず、それでいて挿話も含まれているのでバランスよく流れを知ることができました。この辺りの歴史上の人物は現代では想像のつかないような性格をしていて面白いですね。

 

頼むから静かにしてくれ〈1〉 (村上春樹翻訳ライブラリー)

頼むから静かにしてくれ〈1〉 (村上春樹翻訳ライブラリー)

 
頼むから静かにしてくれ〈2〉 (村上春樹翻訳ライブラリー)

頼むから静かにしてくれ〈2〉 (村上春樹翻訳ライブラリー)

 

         ■58・59冊目『頼むから静かにしてくれ』レイモンド・カーヴァー

短編の名手レイモンド・カーヴァーの初期作品集。村上春樹が解説しているようなアメリカの家長的男性的な夫像が失墜した現代の悲哀を描いた文学的ハードさというのは、僕としては魅力には映りませんでしたが、時としてその悲哀さがカフカ的不条理にも見える部分は面白く読めました。

 

 

以上。まとめて書くのは大変でした。やっぱりアウトプットは定期的に。みなさま、よいお年を。

 

2015年読書記録 42~50冊

 前回の続きです。

 

これはペンです (新潮文庫)

これはペンです (新潮文庫)

 

  ■42冊目『これはペンです』円城塔

叔父は文字だ。文字通り。

この書き出し通りの意味で小説は展開される。文字としての存在である叔父は、書くことと書かれること自体の意味を問うような手紙を送り付ける。ナンセンスな前衛小説としての記述から一転して冒険小説のような展開を見せるそぶりをした後に着地する。表題作のほかに収録されている『良い夜を持っている』は安部公房のような幻想世界を映しており、そちらのほうが好み。

 

 ■43冊目『人形式モナリザ森博嗣

すべてがFになる』がアニメ化され四季シリーズもその対象になるということで、一作目の『黒猫の三角』を読んで止めていたVシリーズを読み始めました。

シリーズ2作目である今作は探偵である保呂草潤平と自称科学者の瀬在丸紅子、大学生の小鳥遊練無、香具山紫子が長野の避暑地を訪れた先で、人形劇を鑑賞中に起きた殺人事件を解決していく。物語の展開やトリックが先読みできてしまい、拍子抜けしながら読書メータに読了を登録しようとしたらすでに読んでいたことが発覚。前に読んでいたことを完全に忘れていました。これぞミステリィ。(違う)

 

月は幽咽のデバイス (講談社文庫)

月は幽咽のデバイス (講談社文庫)

 

  ■44冊目『月は幽咽のデバイス森博嗣

Vシリーズ3作目。今度こそ本当に初読です。トリックに関しては、愕然とするというか無茶苦茶というか、ある意味森博嗣らしい物理トリックでした。どうでもいいですけど舞台が自転車で10分くらいの近所でした。

 

魔剣天翔 Cockpit on Knife Edge (講談社文庫)

魔剣天翔 Cockpit on Knife Edge (講談社文庫)

 

  ■45冊目『魔剣天翔森博嗣

 4作目を飛ばしてVシリーズ5作目。本が手に入らなかった関係で前後しています。

僕はVシリーズで今作が一番好きです。飛行機ショーの最中にパイロットが銃殺。唯一の同乗者だったフリージャーナリストの各務亜樹良に助けを求められた探偵の保呂草は咄嗟に一緒に逃亡してしまうが、警察が彼らを追い詰める。保呂草さん大活躍の回。スパイ映画のような展開がスリリングで良いです。森博嗣の引き出しの広さに感服しました。とにかく保呂草さんがハードボイルドで格好良い。飛行中にパイロットが銃殺という新しい密室シチュエーションが斬新です。へっくんに飛行機の解説をする紅子さんも可愛いし、なんでそんなに飛行機に詳しいのか尋ねられた紅子さんの回答も衝撃的。

 

夢・出逢い・魔性 (講談社文庫)

夢・出逢い・魔性 (講談社文庫)

 

   ■46冊目『夢・出逢い・魔性森博嗣

順番が前後してVシリーズ4作目。タイトルがよく話題になりますね。殺人事件としてのトリックは大したことはないのですが、サブトリックにはまんまと騙されました。保呂草さんが終始蚊帳の外なのでそんなに好きではないです。

 

恋恋蓮歩の演習 (講談社文庫)

恋恋蓮歩の演習 (講談社文庫)

 

    ■47冊目『恋恋蓮歩の演習森博嗣

 Vシリーズ6作目。豪華客船に運び込まれた絵画を目当てに潜り込んだ保呂草潤平と、なぜか居合わせたいつもの3人。そして起こる殺人事件。殺人事件のトリックなんてあってないようなものですが、保呂草さんの手口が鮮やかで良いです。昨今のフィクションにはこういう怪盗成分が不足しているのではないでしょうか。

 

六人の超音波科学者 (講談社文庫)

六人の超音波科学者 (講談社文庫)

 

    ■48冊目『六人の超音波科学者森博嗣

  Vシリーズ7作目。このあたりになってくると瀬在丸紅子の元夫の林警部と愛人関係にある祖父江警部補がふびんになってきます。トリックに関しては特別な感想はありません。

 

捩れ屋敷の利鈍 (講談社文庫)

捩れ屋敷の利鈍 (講談社文庫)

 

     ■49冊目『捩れ屋敷の利鈍森博嗣

  Vシリーズ8作目。メビウスの輪のような構造の屋敷に保存された宝剣エンジェルマヌーヴァが盗み出される。その場に居合わせた保呂草潤平と西之園萌絵、国枝桃子。VシリーズとS&Mシリーズが交錯する一作。シリーズを読み通してきた人間ならば興奮せざるをえない展開ですが、トリックはあっさり。電話をしただけであっさり密室のトリックを解く犀川先生に「あんたは超能力者か何かか」と言いたくなりますが、ファンサービスと思っておきます。今作は四季シリーズまで読み通してから評価が変わる作品なので初読時はそれなりでした。

 

      ■50冊目『朽ちる散る落ちる森博嗣

  Vシリーズ9作目。時系列的には『六人の超音波科学者』の後で、舞台も同じ。トリックが物理トリックでよかったです。小鳥遊くんはなんでこんなに可哀想な目にばかり会うのか。

2015年読書記録 34~41冊

前回の続きです。

東京するめクラブ 地球のはぐれ方 (文春文庫)

東京するめクラブ 地球のはぐれ方 (文春文庫)

 

  ■34冊目『東京するめクラブ』村上春樹、都築響一、吉本由美

寂れた観光地や旬を過ぎたリゾート、メインからは外れた観光名所など、「噛み続けてみれば味が出る」ような場所にスポットを当てたエッセイ集。または、村上春樹が知的な言い回しで名古屋をDISる本です。

僕は思うんだけど、名古屋という場所の特殊性は、そこが押しも押されもせぬ大都市でありながら、どこかしら異界に直結しているような呪術性をまだ失っていないところにあるんじゃないだろうか。結局のところ、僕ら(つまり名古屋市民のみならず普遍的な日本人である僕ら)自身の内部にある古典的異界=暗闇なんですね。

とまで書ききっている村上が『色彩を失った多崎つくると、彼の巡礼の年』で名古屋を舞台にした長編小説を書いたのは示唆に富んでいるわけですが、それはともかくとしてこの本はエッセイとして爆笑してしまうほどユーモアに優れています。

 

やがて哀しき外国語 (講談社文庫)

やがて哀しき外国語 (講談社文庫)

 

■35冊目『やがて哀しき外国語』村上春樹

また村上春樹。高校生か大学生以来の再読。なんとなく村上春樹のエッセイくらいしか読み気力が湧かなかったんです。村上春樹がアメリカに居を構えていたころのエッセイ。ひとりの日本人作家がアメリカという国に住むことについて。

 

今夜はパラシュート博物館へ THE LAST DIVE TO PARACHUTE (講談社文庫)

今夜はパラシュート博物館へ THE LAST DIVE TO PARACHUTE (講談社文庫)

 

 ■36冊目『今夜はパラシュート博物館へ森博嗣

森博嗣の短編集。初読ですが幾つかの短編は別の短編集ですでに読んでいて、面白いと感じたのはほとんどそちらに収録済みの物でした。が、初読だった『ゲームの国-名探偵・磯莉卑呂矛の事件簿1-』の手の込んだバカバカしさといったら凄すぎてひっくり返りそうになりました(比喩表現)。

ところでぶるぶる人形がふるえていた建物が僕の研究室があった建物だったので衝撃を受けました。前読んだときはまだ研究室に配属されていなかったので…。

 

職業としての小説家 (Switch library)

職業としての小説家 (Switch library)

 

 ■37冊目『職業としての小説家』村上春樹

村上春樹のエッセイ読みすぎなのでは。これは新刊だからしょうがないか。村上春樹が小説家という職業について、というよりは自分自身についてを語ります。「毎日決められた量を持久走のように書き続けていく」ことについては散々インタビューで語られていますが、作品を完成した後に何度も書き直してブラッシュアップしていくことや、アメリカでエージェントを手配した話なんかは初耳で興味深かったです。近年話題になっているノーベル文学賞について色々書いていますが、村上春樹個人としては欲しいともいらないとも明言していないあたりがズルいなあと。

 

絶叫委員会 (ちくま文庫)

絶叫委員会 (ちくま文庫)

 

  ■38冊目『絶叫委員会』穂村弘

「でも、さっきそうおっしゃったじゃねえかよ!」

人々が何気なく発した言葉や街中の記述のなかで、ふと奇妙なものに出会う瞬間がある。そんな何気ない、けど改めて考えてみれば何かがおかしい表現に着目した一冊。こういう視点を持って生きていたい。穂村弘は出身高校が同じという理由で読み始めましたが、この人が持つ『眼』に出会えたことは人生の幸運と言えるでしょう。

 

世界の歴史 (2) ギリシアとローマ (中公文庫)

世界の歴史 (2) ギリシアとローマ (中公文庫)

 

  ■39冊目『世界の歴史(2) ギリシアとローマ』

1巻を読んでから何ヶ月経ってるんだと。全て読破できるのはいつになるのやら。小説や映画などでもよく題材になる時代なので面白く読めました。

 

エンダーのゲーム〔新訳版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)
 
エンダーのゲーム〔新訳版〕(下) (ハヤカワ文庫SF)
 

 ■40・41冊目『エンダーのゲーム』オースン・スコット・カード

翻訳がイマイチと言われていた今作が映画化に合わせて新訳版となって発売されたので読みました。面白い! 現代のフィクションに多大な影響を与えるSFの古典と言っていい作品ですが、今読んでも良質なエンターテイメントとなっています。ピーターとヴァレンタインのパートが面白く、幼い天才であるエンダーが周囲の圧力を実力でねじ伏せていく様も良いのですが、それだけでは現代まで残る強度はなかったでしょう。衛星軌道上の宇宙ステーションで子供達が集められて訓練を受ける、って大好物すぎる舞台ですね。EGコンバットしかり、トップをねらえ2しかり、宇宙のステルヴィアしかり、こういうフィクションをもっと頂きたいものです。

 

2015年読書記録 21~33冊

前回の続きです。

村上朝日堂ジャーナル うずまき猫のみつけかた (新潮文庫)

村上朝日堂ジャーナル うずまき猫のみつけかた (新潮文庫)

 

 ■21冊目『村上朝日堂ジャーナル うずまき猫のみつけかた』村上春樹

村上春樹のエッセイ。特に感想はありません。似たようなのがたくさんあるので…。本当に気軽に読めるエッセイです。

 

大槻ケンヂの読みだおれ―大槻ケンヂのお蔵出し〈PART2〉

大槻ケンヂの読みだおれ―大槻ケンヂのお蔵出し〈PART2〉

 

 ■22冊目『大槻ケンヂの読みだおれ―大槻ケンヂのお蔵出し〈PART2〉』大槻ケンヂ

 村上春樹のエッセイがくだらなさの主としたユーモア、坂本真綾が普遍的なあたたかみを備えたユーモアとするならば、大槻ケンヂケレン味と偏執さを武器とした面白さでしょう。同じミュージシャンのエッセイでも音楽性が見えるようで面白いですね。

 

超簡単 お金の運用術 (朝日新書)

超簡単 お金の運用術 (朝日新書)

 
知らないと損する 池上彰のお金の学校 (朝日新書)

知らないと損する 池上彰のお金の学校 (朝日新書)

 
臆病者のための億万長者入門 (文春新書)

臆病者のための億万長者入門 (文春新書)

 

 ■23冊目『超簡単お金の運用術』山崎元

 ■24冊目『知らないと損をする池上彰のお金の学校』池上彰

 ■25冊目『臆病者のための億万長者入門』橘玲

株式投資を始めようと思ったのは勤務中にトイレに入っているときで、「なんで俺は腹痛に苦しみながら働いているんだ」とふと憤りを感じたので楽に稼げる方法を探してやろうと思いました。

とりあえず手っ取り早くこの3冊を読んで「なるほど信託報酬が少ないETFを買えばいいのか」と早速証券口座を開設してETFを買い付けた直後にチャイナショックが起こって5万円くらい損失が出ました。現在の収益はマイナス3万くらいです。

とはいえ、当初の「楽に稼ぐ」とは程遠いですが、長期的に見れば利益は出せそうです。株式取引の仕組みは面白いし、学生の頃に元手50万円から始めて100億稼いだ伝説のネットアカウント『BTF』氏など、知らない世界を知ることができたのは大きかったと思います。

 

神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)

神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)

 

 ■26冊目『神の子どもたちはみな踊る村上春樹

再読。阪神大震災サリン事件に関わり始めてからの村上春樹の短編集。高校生の頃に初読した時はさらっと読み流してしまったのだけれど、今読み返すとのちの作品に通じているものがたくさんあることに気づく。表題作は1Q84海辺のカフカもそうだし、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』のヒロインである沙羅と同じ名前の少女も出ている(同一人物かは微妙だが)。

この作品集のなかでは『かえるくん、東京を救う』が好きなのですが、「ぼくは一人であいつに勝てる確率は、アンナ・カレーニナが驀進してくる機関車に勝てる確率より、少しましな程度でしょう。」というセリフで、キン肉マンテリーマンが新幹線を止めるシーンを思い出したのは僕だけでしょうか。

 

ホテル・ニューハンプシャー〈上〉 (新潮文庫)

ホテル・ニューハンプシャー〈上〉 (新潮文庫)

 
ホテル・ニューハンプシャー〈下〉 (新潮文庫)

ホテル・ニューハンプシャー〈下〉 (新潮文庫)

 

  ■27・28冊目『ホテル・ニューハンプシャージョン・アーヴィング

2014年で最も衝撃的だったジョン・アーヴィングの作品の中でも映画化もされた代表作である今作を読みました。ただひたすらに美しく、愛おしく、そして悲しみに敷き詰められた現代のおとぎ話でした。ジョン・アーヴィングの小説の中ではわりとバカバカしい理由で唐突に主要人物が死ぬんですが、それがご都合主義に見えないところに技巧があります。つまり、平和な日常に突然登場人物が死んでもおかしく感じないような不穏さがユーモラスな世界に満ちていて、それが物語を牽引する力になっている。個性的な家族たちはみな愛おしく、だからこそ、その盛衰が物悲しく感じます。

 

王とサーカス

王とサーカス

 

   ■29冊目『王とサーカス』米澤穂信

 「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」で2015年国内ミステリ部門1位に輝いた今作は、高校生の頃に何度も読み返した『さよなら妖精』の登場人物である大刀洗万智が主役ということですぐに読みました。2重に仕掛けられたミステリ的トリックはもちろんですが「ジャーナリストが伝える意味とは何か」ということを自問する今作は、社会派ミステリでも青春ミステリでもない米澤穂信にしか書けないテーマが描かれています。このテーマは米澤穂信がデビュー以来書き続けてきた青春の挫折−−ビルドゥングスロマンの延長線上にあるものであり、それがこのように大衆に受け入れられたということは、自らの作風を突き詰めてひたすらにその強度を増した結果と言えるでしょう。

 

株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書

株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書

 

  ■30冊目『株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書』足立武志

最低限知っておこうと思って読みました。財務諸表の読み方など。

 

アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫)

アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫)

 
アラビアの夜の種族〈2〉 (角川文庫)

アラビアの夜の種族〈2〉 (角川文庫)

 
アラビアの夜の種族〈3〉 (角川文庫)

アラビアの夜の種族〈3〉 (角川文庫)

 

   ■31~33冊目『アラビアの夜の種族』古川日出男

古川日出男の他の著作を読んだことがあればこの作品が翻訳小説ではないことにはすぐわかると思うのですが、どうも他の書評を読んでいると勘違いしている人が結構多いようで…。物語のプロットやディティールの細かさは良いと思いますが、翻訳調に徹するかと思えば古川節が出てきたりするような調性の乱れが気になりました。作中で登場人物が寝食を忘れて没頭する物語が「しょーもな」と思ってしまったので、僕としてはイマイチでした。

 

 

 

2015年読書記録 11~20冊

前回の続きです。

門 (新潮文庫)

門 (新潮文庫)

 

 ■11冊目『門』夏目漱石

『それから』の続編とも読める作品。略奪婚とも言える経緯を経た夫婦の罪の意識と、そこから生じる人生への諦念。生活が行き詰まっていくのは自分の過去に由来する因果として何もしない主人公が、救いを求めて禅門を叩く。結局何も解決しないあたりは漱石の実体験なのか。神による救済を信じたドストエフスキーとは対照的に、漱石には宗教的超克はありえないのですね。

 

容疑者Xの献身 (文春文庫)

容疑者Xの献身 (文春文庫)

 

■12冊目『容疑者Xの献身東野圭吾

なぜ読もうと思ったのかさっぱりわかりませんが、とにかく読んでみました。トリックは途中でわかりましたが面白く読めました。しかし東野圭吾の真骨頂は『白夜行』などの超長編なのかなと思います。このくらいの長さだと用意された設定の書き割り感が拭えない印象。要するにミステリのためのミステリを描いているのに、中途半端に情動を追っている部分が気になりました。

 

1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 1

 
1Q84 BOOK 2

1Q84 BOOK 2

 
1Q84 BOOK 3

1Q84 BOOK 3

 

 ■13~15冊目『1Q84村上春樹

今更初読です。語り始めのあたり、青豆が異世界に踏み込むシークエンスや天悟とふかえりのぎこちないやり取りなんかは面白かったのですが二人の関係がリンクするあたりはなんとなく安易に堕した感が否めません。テーマの多様性はともかくとして、『ねじまき鳥クロニクル』や『海辺のカフカ』に比べるとフィクションとしての強度が低いように思います。

 

荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)

荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)

 

 ■16冊目『荒木飛呂彦の漫画術』荒木飛呂彦

ジョジョの奇妙な冒険』でおなじみの荒木飛呂彦の創作術が書かれています。ストーリーの作り方は小説においても参考になります。「物語はプラスの方向に進まなければならない」というのはなるほどと思いました。コマ割りの解説では視線誘導について解説しているんですが、最近のジョジョって一見して何が起こってるのかわからないですよね…。

 

満願

満願

 

 ■17冊目『満願』米澤穂信

米澤穂信の作品は『追想五断章』以来遠ざかっていたのですが、久しぶりに手に取った今作は上質なミステリでありつつもしっかりと米澤穂信の独自性が感じられる作品でした。コンセプチュアルではない短編集は初なのでは? 『夜警』と『万灯』が好みですが、直木賞の選考会では東野圭吾が「コレラの記述が間違っている」といって反対したそうです。そうであったとしても、僕としては作品の質は決して落ちるものではないと思いますが。

 

あなたのための物語

あなたのための物語

 

 ■18冊目『あなたのための物語』長谷敏司

そろそろSFが読みたくなったので。人工知性に物語を描かせる話、というと野崎まどの「小説家の作り方」と図式が同じですね。こちらは生命とは何かというイーガン的テーマになっていますが。日本人作家の手によってこのようなハードSFが描かれたことは喜ばしいことですが、僕としては好みではありませんでした。

 

知らないと恥をかく世界の大問題 (角川SSC新書)

知らないと恥をかく世界の大問題 (角川SSC新書)

 

  ■19冊目『知らないと恥をかく世界の大問題』池上彰

なんで読んだのかわからないシリーズ第二段。池上彰をテレビを見たときに抱く感情そのままの読書感想になります。

 

書きあぐねている人のための小説入門 (中公文庫)

書きあぐねている人のための小説入門 (中公文庫)

 

 ■20冊目『書きあぐねている人のための小説入門』保坂和志

保坂和志の小説を一冊も読んでいないのに小説指南を読むという行動に出ました。ふむふむと納得できる部分も多かったです。総合小説の書き方はためになりますが、それができれば苦労しないわけで…。佐藤亜紀『小説のストラテジー』を思い出しました。あちらのほうがよりテクニカルですが。