諸々の進捗を月単位で書くことにしました。理由は後述します。
いつまで続くかはわかりません。
■アウトプット
<<小説>>
1月くらいからプロットを作り始め、いま荒い粗筋と主要な登場人物一覧ができたという感じです。
南極を舞台にした話になる予定で、内陸調査隊に選ばれた主人公が様々な困難に見舞われながらなんやかんやする話です。「なんやかんや」が全然決まっていないので書き始められません。なんとなく南極を舞台にした『ハチクロ』みたいな話にしたいと思っているのですが、死人が生き返ったり異星生命体が出てきたりする構想もあり、どうしようかなあと思っているところです。
主人公を誰にするかすら決めかねていて、だいたい目星はついているのですがどういうテンション(あるいは角度)で語ろうかが悩ましいです。つまりはナラティブの問題で、それが決まれば書けるだろうという目処はなんとなくあります。
資料集めは去年から始めていて、南極に関する文献やフィクション、手記などを読み漁っています。なにしろ行ったこともない場所を舞台にするのはほとんど初めてなので、なんとか書き切りたいところです。
南極という場所は調べれば調べるほど面白く、物語の材料になりそうなものが見つかりすぎるくらいです。とはいえ自由研究ではないので、事実の羅列ではなく有機的なフィクションに繋げなければいけません。うーん難しい。
来月あたりにはなんとか書き始められればと思っています。
■インプット
<<書籍>>
→ひさしぶりに資料じゃない小説が読みたくなって読みました。箱男という視覚的なイメージが強烈なだけでなく、語り手がメタレベルで信用ならないところに目眩を覚えます。
スティーブン・キング「書くことについて」
→小説を書くぞ、となるとこういった創作指南を読んで自分を鼓舞したくなります。さすがスティーブン・キング、良いことをたくさん言ってました。
作家になりたいのなら、絶対にしなければならないことがふたつある。
たくさん、読み、たくさん書くことだ。
私の知るかぎり、そのかわりになるものはないし、近道もない。
創作活動はウィジャ・ボードの占いでもないし、霊媒の口寄せでもない。配管工事や長距離トラックの運転と同じ肉体労働だ。
リサーチとはあくまで裏方である。肉を食うバクテリアとか、ニューヨークの下水道とか、コリー犬の知能指数とか、そういったものは調べれば調べるほど興味が湧いてくる。だが、読者が心をときめかすのは、そういったことではなく、ストーリーや登場人物のほうなのである。
村上春樹「街とその不確かな壁」
→まだ1部を読んだところですが、いまのところあまりピンと来ないかなあ。これから面白くなることを期待。
<<ゲーム>>
「ファミレスを享受せよ」
ブラウザでプレイできるフリーゲームなのですが、非常に面白かったです。ゲームデザインがとにかく素晴らしい。配色を制限した絵、言葉遣い、独特なネーミングセンス、「永遠の時を繰り返すファミレスからの脱出」というコンセプト...。なにもかもがツボでした。しかもこのシナリオ、BGM、イラストをすべて1人で作成されているというのだから驚きです。
MOTHERのムーンサイドやゆめにっき、アンダーテールといったレトロゲーム的なデフォルメされた狂気を押し出した「深読み系」かと思いきや、じつはしっかりとした世界観に基づいていることが示唆され、稲垣足穂や山尾悠子のような詩的でありつつも骨太な幻想文学の系譜を感じます。作者が安部公房に影響を受けていることをプレイ後に知り、直近で箱男を読んでいたのでその偶然性に驚きました。
作者のおいし水さんは現在新作ゲームの製作中のようで、次作もコンセプトアートからその凄さが伝わってきます。プレイする日を楽しみに待ちたいと思います。
おいし水さんは今どき珍しく公式ホームページで近況報告しており、進捗を月報で報告されていることに影響されて僕もこの記事を書きました。
最近、年をとったせいか単に多忙だからなのか、創作物に触れても心を動かされることが少なくなり、自分の感性が鈍ってきていると感じていたのですが、「ファミレスを享受せよ」に感銘を受けて、こうして記事を書くほど影響されている自分に驚きました。まだ死んでなかった、おれの感性。もう少し頑張れ、おれの感性。